概要:朝、松山発予讃線陸側路線特急宇和海で内子へ向かう、確認せず適当に乗車すると海側路線に乗ってしまう場合があるので要注意だ、内子-新谷間が「内子線」なので少しばかりわかりにくい。

桜見頃春の午前、伊予の暖かい人情につつまれた古い町並みの残る「内子町」を散策した。旧大洲街道沿い約600mに軒を連ねる89棟の家と地域は「伝統的建造物群保存地区」の種別「製蝋町」として1982(昭和57)年指定を受けている、この地域で採取される浅黄色壁土の塗り壁と鏝絵が特徴的な町並を散策した。
江戸時代には大洲藩6万石の商都、宿場町だったとか。さらなる繁栄は、藩専売品の木蝋と和紙(伊予紙、大洲半紙)の生産によるとか、木蝋は徳川吉宗の時代からとか。木蝋資料館(上芳我邸)で往時の繁栄ぶりを想像した。

アクセス:JR予讃線「内子」駅から内子座まで徒歩約15分、内子町並み入口まで駅から徒歩約20分
その他:内子町観光協会HP

髙昌寺:この日は四国現存4天守巡り最終4天守目の「宇和島城」を予定していることから、内子町を効率的に巡る意味で町並みの最奥に位置する「護国山髙昌寺」までタクシーでショートカットしそこから内子駅へ徒歩で戻ることにした。
髙昌寺:重厚な構えの山門、朝9時、三々五々人が山門から境内へ入ってゆく、何かの行事があるのだろうか。両脇に満開の桜、南国四国にふさわしい良い天気だ。1441(嘉吉元)創建、曹洞宗の古刹で伽藍配置が永平寺を模しているとか。
内子町:これが「八日市・護国寺町並保存センター」から見る内子の町並み、「文化の里 内子町」の石票。
内子町:愛媛特産の柑橘類が並べられていた、静かな古い町並みに心地よくとけ込んでいた。
内子町:このように旧大洲街道を挟んで両側に平入りの民家・商家が軒を連ねている。緩やかに上る街道の奥には山が見えていた。
内子町:ひときわ立派な構えの上芳我家住宅(木蝋資料館、重要文化財)。
平成20年から約3年間修理改修が行われていて部分公開だった、幸運にも、訪れたときには修理が終わり広大な上芳我邸の多くの部分が解放されていた(有料部分と無料部分があり、木蝋の製造過程展示エリアは無料開放で休息所・トイレもある)。
ちなみに、上芳我邸見学単独券が大人500円、内子座と商いと暮らし博物館セット券が大人900円(どちらも小人半額)、当日は内子座で催しがあり内部見学不可とのことで単独券を購入した。
内子町:出格子に虫籠窓、なまこ壁そして浅黄色の漆喰壁にさまざまな意匠がこらされている平入りの軒が連なる。日曜日の朝、内子町は未だ眠りから覚めていないかのようなまどろみの中だった。
内子町:喫茶・食事処そうげん水車苑、要所にこのような雰囲気の食事・喫茶処が点在、気軽に休憩できる。上品な浅黄色の漆喰壁と格子のコントラストが目を楽しませてくれる。
内子町:先ほどの上芳我邸に対しこちらは内子屈指の豪商「本芳我邸住宅(重文)」で同じく木蝋で財をなした往時を彷彿とさせる堂々たる住宅で隣接する土蔵も見事だ、こちらは上芳我家のように製蝋設備は残っていない、住宅内は未公開。
土蔵の隣に工事用覆いで前部が覆われているのが「大村家住宅(重文)」でこちらも内部非公開約200年前の築!。
内子町:来た道を振り返ると町並みの奥に歩き始めのお寺「髙昌寺」の大きな屋根が見えた。左手の「本芳我邸」の土蔵がひときわ目立っていた。町全体がおおらかな雰囲気だった。
内子町:午前9時「髙昌寺」からゆっくり歩き始めて「木蝋資料館」見学も含め「伝建地区」の端近くまで約1時間半。
内子町:昼食には未だ早いが町歩きも一段落、このお店「あたらし屋」で一休みすることにした。
内子町:民芸品店「あたらし屋」店内の喫茶スペース(中央奥)に腰を下ろし、紅茶を飲みながら親切で穏和なマスターと談笑・情報を仕入れる。話と時間から判断し今回は大洲の「おはなはん通り」と大洲城をパスし内子から直接本題の「宇和島城」へ向かう無理のないコースに決めた。
内子町:内子町町並み入口に1793(寛政5)年築の町家が「町家資料館」として整備・解放されていた。中には往時の生活用具などが展示されていた。
内子町:「大森和蝋燭」、今では珍しいハゼの実が原料の和蝋燭を製造・販売している、時間が合えば6代目大森太郎さんの実演が見られるという、今回は時間の関係でパスした。
1年半程前”飛騨古川”を訪れたとき和蝋燭の「三嶋和ろうそく店」で7代目三嶋順二さんの和ろうそく制作風景を見せていただいた記憶がよみがえった。
内子座:内子座は内子駅と伝統的町並みの中間辺りで北西へ少し入った所にあった。結構奥行きがあり裏側には楽屋口があった。
内子座:1916(大正)年築の歌舞伎劇場、現在の内子座は1985(昭和60)年に復元され、多目的ホールとして利用されている。
この日は劇場が使われていて内部見学不可だった。
正面入母屋、唐破風、上部が千鳥破風でその上に太鼓櫓と両翼が切り妻と凝った印象的なデザイン。春風にはためく幟旗が建物を更に印象的に見せていた。
下芳我邸:伝建地区から少し外れるが内子座から駅へ向かう途中の「下芳我家住宅」の和食レストランへ立ち寄りここで昼食を摂る。
内子駅:特急宇和海13号で次の目的地宇和島へ向かう。