概要:唐の高僧鑑真和上渡来にまつわる井上靖著の歴史小説「天平の甍」を読んだのが40数年前、題名と作者以外何一つとして記憶に残っていない。一章の書き出しを見ると「朝廷で第九次遣唐使発遺のことが議せられたのは聖武天皇の天平四年で、その年の八月十七日に、....」となっている。ともあれ記憶に無いものはしょうがない、奈良時代建立の金堂、講堂を中心に境内を散策し、その雰囲気に浸り天平文化の何かを感じられればと思った。2009年4月「薬師寺」の次に訪れる予定だったのが突然の雨で中止、今回初めて訪れることになった、「国宝金堂」の平成大修理が完了し落慶法要が行われたのが2009年11月だから唐招提寺を散策するのには良いタイミングだ。昨日訪れた「法隆寺」の端正で重厚な雰囲気、今朝訪れた「薬師寺」の優美で開放的な雰囲気、そしてここ「唐招提寺」では天平伽藍とそれを包み込む境内全体に厳かに響き合う何か”ストイック”な雰囲気に感銘を受けた。

アクセス:近鉄橿原線「西ノ京」駅から徒歩約10分
その他:「唐招提寺」公式HP奈良の世界遺産

唐招提寺:薬師寺興楽門を出る、北へ一直線に伸びる歴史の道を500m程行くと唐招提寺境内に行き当たる。
唐招提寺:唐招提寺への途中このような田園風景が広がる、前方の山は春日山だろうか、奈良らしいゆったりとした風景だ。
唐招提寺:薬師寺興楽門から歩いて7分程で「唐招提寺」に行き当たる、右の秋篠川方向へ少し歩くと左に南大門、1960(昭和35)年再建の天平様式。
唐招提寺:南大門正面その奥に「金堂」がかいま見える。
唐招提寺:薬師寺などと同様に「古都奈良の文化財」として1998年12月にユネスコの世界遺産に登録されている。
唐招提寺:国宝金堂、天平様式だとか、前面から見る、高く広いゆったりとしたカーブの屋根に鴟尾、それを支える八本の円柱と両測の連子窓、法隆寺金堂で見られるような裳階(もこし)も無くスッキリとした姿の金堂だ。
唐招提寺:右経蔵(きょうぞう)、左宝蔵(ほうぞう)で高床式校倉(あぜくら)造りで両方とも国宝。金堂、講堂の東側。
唐招提寺:右2階建ての「鼓楼(ころう)」堂内には仏舎利が安置されているとか、国宝で鎌倉時代の築。左「国宝講堂」築は奈良時代。
唐招提寺:講堂正面、平城宮の東朝集殿(ひがしちょうしゅうでん)を移築・改造したものとか、薬師寺の「国宝東院堂」の横幅を広くしたようなスッキリとした外観。
唐招提寺:「礼堂(らいどう)」、中央が土間通路(馬道(めどう)と呼ばれる)になっていてその先には「新宝蔵」(1970(昭和45)年築)があり、そこでは文化財の収蔵・展示が行われていた。
唐招提寺:礼堂の馬道を抜けると周囲がしっとりとした雰囲気になり木立の先に「新宝蔵」の一部が見えてくる。
 唐招提寺:土塀に晩秋の紅葉。
唐招提寺:新宝蔵を出て北へ行くと境内北側奥の木々に囲まれ深閑とした場所に行き当たる、御影堂を左に見てそこから東へ行くとやがて左手が土塀となり「開山御廟」への門がある。
唐招提寺:「開山御廟」入り口付近から来た道を振り返る。
唐招提寺:「開山御廟」の領域に入る、冷涼な気が漂っているかのように感じた。
唐招提寺:ほの明るい晩秋の木漏れ日と紅葉。
唐招提寺:常緑の苔に季節の落ち葉が一つ。
唐招提寺:「開山御廟」からでて来た道を西へ、行くとやがて落葉樹主体の木々の道となり晩秋の日差しが道に長い陰を落としていた。人の姿もなく静まりかえっていた。
唐招提寺:境内をほぼ一周し再び金堂の前へ、午前11時半、門前の食堂で腹ごしらえをした。