概要:かつて造り酒屋の商家「吉島家住宅(重要文化財)」を見学、飛騨の豪商「日下部家(現日下部民藝館・重要文化財)」と隣接する飛騨高山を代表する日本建築を堪能。

2年前の12月、お隣の「日下部民藝館」を見学した、大雑把な印象を頼りに比較すると、豪壮な日下部邸に対し繊細で洗練された雰囲気を感じた。建物の中に設えられたギャラリーと展示されている作品もこの印象に大いに影響しているのかもしれない。

現在の「吉島家住宅」は明治38年の火災後に再建(明治40年)され、棟梁は名工の西田伊三郎。

アクセス:高山本線「高山」駅から徒歩約20分
その他:「飛騨市観光情報

日下部民藝館:手前、日下部民藝館(くさかべみんげいかん)その奥が今回訪れた「吉島家住宅」でこのように見ると外観上は2階屋根下の杉玉が吊されているのが吉島家住宅で2階屋根下の腕木があるのが日下部民藝館といったところか。
吉島家住宅:吉島家住宅、日下部民藝館同様重厚な外観、2階軒につり下げられた三輪神社の杉玉がかつて造り酒屋だったことを物語っている。隣の日下部民藝館にくらべ幾分かスッキリとした印象だ。
吉島家住宅:正面入口、奥に見えるのれんの「引両紋(ひきりょうもん)」は幕府から賜ったものとか。
吉島家住宅:入口から入ると広いみせの土間となり、見事な梁組と束組の吹き抜けに圧倒される。梁・束は隅々まで磨かれている、ダイナミックな外観と繊細な仕上げの素材の吹き抜け、これほどのものは滅多にお目にかかることはできないだろう。
吉島家住宅:2階へ上がると、右側にアートな雰囲気の休息所があり、表通り側の格子からの光と室内照明でくつろげる空間に大きなアートの壁。天井は屋根の傾斜と一致しているようだ。
吉島家住宅:振り向くと一段高い船底天井の座敷が、船底天井は屋根の傾斜に合わせたのだろうか。奥の開いた障子窓から中庭の木々がかいま見える。左奥に見える踏み台を上がると踊り場のような座敷間がありそこから更に2段の踏み台を経て2間続きの部屋へ、屋根の傾斜に合わせてだんだん床が高くなる作りだ。
吉島家住宅:2階の格子越しに向かい側を見る。
吉島家住宅:2段の踏み台を上がり2間続きの部屋へ。
吉島家住宅:奥の座敷から来た方向を振り向く、この2間続きの先に踊り場状の座敷があり更にそこから1段下がると表通りに面した格子窓のある船底天井の座敷へと下がる作りを見る。
吉島家住宅:2階の散策を終え1階へ。
吉島家住宅:中庭、要所に日よけのすだれが掛かっていて屋内に差し込む夏の日差しを和らげていた。
吉島家住宅:はなれ。
吉島家住宅:上部採光窓からの光による陰影が時々刻々変化する様がすばらしい。
吉島家住宅:土間を挟んで2つの畳敷きは台所近く。
吉島家住宅:時計は止まっているようだ。
吉島家住宅:煉瓦かまど。
吉島家住宅:玄関から土間を真っ直ぐ奥へ進むと庭を仕切った瀟洒なギャラリーがある。
吉島家住宅:篠田 桃紅(しのだ とうこう)氏の作品が展示されていた、モノトーンで多様な表現が印象に残る、作者は1913年生まれとか。同作品は他の部屋にも飾られていた。
吉島家住宅:ギャラリー側から正面玄関を見る。